【マイカー】段差解消スロープの設置は法律違反!?ベストな方法を考えてみた

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車の走行で不便になる地面の段差を解消する「スロープ」ってありますよね(画像参照)。

これが原因でバイク事故が起こった事例もあって、そもそも道路にスロープを設置する行為って道路法などの法律に違反していないでしょうか?

今回はこのことを検証し、何にも抵触しないベストな方法を考えてみました。

 

なお、今回頻繁に登場する「道路」とは、公道(国道、都道府県道、市町村道)を指しますので、あしからず(北海道住みの人は わかりにくいかもしれませんが、道外には「私道」もあります。)

 

 

 

段差スロープとは?

段差を解消するスロープは、車を私有地から車道に出入りする間の、歩道との段差解消のために置かれることが多いです。

それと、車椅子を使う方に合った商品もあります。こういう段差解消グッズは必需品ですね。

 

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しかし、無断で道路に物を置きっぱなしにするのは、道路法(第32条)違反です。

過去に大阪府堺市では、ミニバイクを運転していた大学生が車道と歩道の段差スロープに接触して転倒、その後車にはねられ死亡する事故が発生してしまいました。

でも、きちんと道路法の許可を得ていれば、段差解消スロープを置いても法的な責任はないのでは?

 

いえいえ、そもそもそんな物で行政の許可が出るわけがありません。

 

段差スロープのメリットとデメリット

まずは、段差解消スロープの長所と短所をまとめてみましょう。こんな感じになるでしょうか。

 

メリット

・車や機器は段差がないので傷めにくい、車椅子はスムーズに走行できる。

・歩道を切り下げる工事の費用(うん十万円)より、はるかに安価。

 

デメリット

・重い製品が多いので、設置や後片付けがしにくい。

・道路に置きっぱなしにされると、邪魔だし危ない。

 

建物の使用者や家屋の住民のために行政がサービスで作られたものではなく、すべての人が歩行などに使用できるよう作られた公物で、車道と同様「道路」の定義に含まれます(国道、都道府県道、市町村道の場合)。

 

問題はデメリットの方で、道路に置いたまま放置しておくと後々面倒くさいやり取りや、それどころの話ではない「大問題」に発展することもあるんです。

 

デメリットの解決方法を考える

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設置スロープの重さの問題はひとまず置いといて、設置スロープを置く必要がない方法を考えます。

もちろん、車等を使わなきゃいいじゃん!という考えは省きますよ。

 

歩道の縁石切り下げ工事(道路法第24条の承認)

上の写真でいうと、車道と歩道の間にある出っ張っててブロックに見えるものがそうです。

つまり、これを凹ませる工事を言いますが、もちろん勝手に工事するのは厳禁です。行政から原形復旧するよう言われますので切り下げ工事だけでなく復旧工事の費用もかかり、これでは単純計算で2倍の出費です。

切り下げ工事の成果品は道路管理者(行政)のものになりますが、道路管理者に対して工事の承認を受ける必要があります。

 

ですが、そもそも

・縁石を切り下げることで歩道に傾斜がつくので、身体が不自由な人や車椅子の利用者に負担や危険が伴う

以上のことなどから、道路管理者に工事を承認されないケースがほとんどです(⇒ 別に手続きを面倒くさがっているわけではない)。

 

道路占用(道路法第32条の許可)

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では、歩道の縁石を切り下げずに、段差解消スロープを設置することについて道路管理者から許可を得るのはどうでしょうか。

道路法でいうと「道路に工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする」行為(道路占用)に該当しますので、道路管理者の許可が必要になります。

しかし、道路地先の土地で工事をするわけでもないし、道路法第32条第1項第1号に掲げられている物 に該当しないので、駄目

また、どんなにこじつけて掲げられている物に該当させたとしても、同条第5項で道路管理者は管轄する警察署長と協議が必要となってます。

こうなると、特に自転車や自動二輪車にとって通行の邪魔になる段差解消スロープを置くことについて、警察が同意するわけありませんよね

 

建物工事時などに歩道に置く「敷き鉄板」は なぜOKされるの?

事前に道路管理者と打ち合わせが必要になりますが、

・工事期間中だけの短期の占用であること

・歩道に敷鉄板を置くことで傷めた公物は原形復旧(元通りにすること)する約束

・工事期間中は、歩道や車道利用者への安全を配慮をする(申請には、工事工程、具体的設置場所の図面、安全配慮措置を施すことを示す図、その他いくつかの書類が必要となるでしょう)

・もちろん、万が一のことがあった場合の全額費用負担を誓約する文言

上記の条件を守れば、警察も同意しやすく、道路法の許可が出ることが多いのではないでしょうか。

 

そもそも道路法から毛嫌いされる理由とは?

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そもそも道路法では、道路に関する禁止行為として 第43条の中で「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。」を定義しています。

これを基本に第24条や第32条で承認するか許可を出すか審査しているわけなんです。

道路交通法にしても同様、第76条が根底にあって第77条の審査をするというわけです。

 

解決法

調査

これじゃあ駄目じゃん、段差解消スロープって買っちゃ駄目なの!?

そんなことはありません。売ってる段差解消スロープの多くは「私有地で使いましょう」とか書いてますよね。

車椅子用の段差解消スロープについては、歩道と車道の縁石に置くなんてことはないでしょうから問題ないとして、実際にバイクの転倒事故が起こって問題になっている「車両用」のが問題ですよね。

ここでは、解決策を2点(及びレアケース1点)まとめてみました。

 

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使うたびに片付ける

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市販のものでも軽いのが販売されてます。と言っても1個につき2㎏くらいでしょうか、やはり2リットルのペットボトル程度の重さは我慢しなければなりません。

マイカー用となると1個じゃ済まないでしょうが、片付けないとスロープが原因で事故が起こった場合、刑事や民事の訴訟で敗訴した場合、人生を台無しにしかねません。

⇒ 素直に片付けましょう。

 

予め縁石が切り下げられている地先の土地を選んで家を建てる

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元々誰が切り下げたのか見当がつかない場合、建物を取り壊すとき切り下げを元に戻さない例がほとんどです。道路管理者(行政)もわざわざ税金をかけて切り上げる工事を行わないでしょう。

そういう土地を買って家を建てる場合は、無断で別の縁石を切り下げる工事をするとかひねくれたことはしないで、

⇒ 家を建てるときは、元々切り下げた縁石を元に車庫スペースを考えましょう。

 

道路の拡幅(改良)や維持工事が予定されている地先に家を建てる

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レアなケースですが、道路の拡幅(改良)ですとか、あるいは歩道がボロボロになって遣(や)り直す工事については、道路管理者側と事前に打ち合わせておけば縁石を下げた形で完成させてくれる場合があります。

ほとんど工事の実費や手間が変わるわけでもないし、発注先の工事業者も文句を言わないし、片手間でやれる感覚でできるからでしょう(もちろん工事に使われる税金に変動はありません)。

そもそも歩道と車道の段差が大きいことで問題になってますが、近年では歩道と車道の段差を少なく つまり歩道高を低くする傾向なので、こんな打ち合わせは要らないのかもしれませんが。

 

まとめ

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他人に迷惑をかけてしまう以上、また、人生を棒に振りたくなければ、「段差解消スロープ」は車の出し入れの都度片付けましょう。

片付けが面倒だという人で都会住みの人は、車を所有するこだわりがない人限定で「カーシェア」を利用してみてはいかがでしょうか。

マイカー所有にこだわる人は、今まで読んで頂いたような「後々も困らない、他人に迷惑をかけない方法」を考えて車を購入しましょう。

 

(2023.1.18 行政書士資格保有者)

 

 


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・記事を参考にして実践した行為について、当方で弁済を負うことは一切いたしません。

 

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